社長メッセージ
株式会社ワイヤードビーンズの創業者であり、代表取締役社長を務めるのが、三輪 寛です。ここでは、創業にいたるまでの歩みから、未来への展望について紹介します。
「小学校低学年のとき、粘土でつくった恐竜の作品で入選したことがありました。今思うと、当時からものづくりが好きだったのだと思います。高校、大学のときはオートバイに夢中になり、毎日手が真っ黒になっていました」
大学を卒業後は、東京のIT企業に就職。当時は「IT」という言葉すら一般的ではなく、三輪自身もほとんどパソコンを触ったことがなかったそうです。
入社後はコンビを組んだ同僚とは良い関係を築き、上司にも恵まれました。
「私はプロジェクトに入れず、本を読むばかりでしたが、上司からはプログラミング言語の本は読ませてもらえず。代わりに3か月間、ソフトウェアの構造や失敗事例、航空事故の原因などに関する本を読み込み、設計図書などばかりを書かされました。すると、ソフトウェアの本質が理解できてきました。言語が“道具”であることに気づきました。私はCADの専門部署に配属されて、お客様の課題解決に取り組みました」
その後、中国・上海での勤務も経験し、約5年間勤務。父親の病気をきっかけに、地元・宮城県仙台市へ戻ります。
仙台では、東京に本社を置く老舗ソフトウェア企業の仙台責任者として転職。営業からプロジェクト管理まで幅広く手がけました。
「仙台では営業から案件管理まで自分で行い、プロジェクトマネージャーのような立場でした。本社から『東京本社での仕事もどうか』と言われても、自分が行けば仙台支店が不安になるという思いがあり、両拠点を行き来していました。そのなかで、宮城県には一次受企業が少ないこと、そして優秀なプログラマーが世界中に数多く存在することを前職で実感していました。そこからマネジメントの道に進もうと決意しました」
この頃から起業への思いが芽生えます。経営の経験を積むため、ITベンチャー企業に取締役として参画。優秀なメンバーを集め、チームを率いました。
その後2008年のリーマンショックを機に、独立を決意します。
2009年、株式会社ワイヤードビーンズを設立しました。
2009年の創業当時から続くものづくり事業は、「生涯を添い遂げるグラス」から始まりました
社名の「ワイヤードビーンズ」は、「Wired=つなげる」「Beans=地域の可能性」を意味しています。
地域の技術や職人とお客様を結び、新しい価値を創造するという思い、そして伝統や文化、職人の手仕事を未来へ継承していくという理念が込められています。
「ITで働いてきたなかで、ITバブルによるマネーゲームに嫌悪感を覚えました。ITを社会に正しく活用したいという思いが強まりました。ITには地域のインフラを支える力があるのに、首都圏中心のビジネスしかなかった。地域でも世界と戦える企業をつくれると思いました。また、仙台には東京本社の支社が多く、地域に根ざした企業が少ないことにも気づき、地域活性化を目指すことにしました。これが起業の原点です」
モデルとする人物はいないものの、三輪が影響を受けたのは、Appleの共同創業者であるスティーブ・ジョブズの考え方です。
「Macintosh Plusが私にとってはじめてのパソコンでした。そのインターフェースに衝撃を受けたのを覚えています。今のiPhoneにも、その思想が生きています。当時すでに“人ともののあいだにある普遍的なデザイン”が存在していたことを知り、深く感銘を受けました」
4人のメンバーで船出したワイヤードビーンズ。創業時はITの力を蓄え、ノウハウを積み重ねることに苦労したと振り返ります。
「当時お付き合いくださった企業・ブランドの皆様には、感謝しかありません。お仕事を通じて多くのことを学ばせていただきました」
IT事業と並行して、ものづくり事業も開始しました。
「日本の職人技術を活かした製品づくりに挑戦しましたが、高品質な製品を市場に受け入れられるかたちにするまでに多くの試行錯誤がありました。IT企業がものづくりをすることや、“生涯補償”という新しいサービスは、当初なかなか理解されませんでした。しかし『生涯を添い遂げるグラス』が国内外でデザイン賞を受賞したことで、職人との連携やデザインへのこだわりが評価され、多くの方に支持されるようになりました」
三輪は、ITエンジニアも、ものづくりの職人も、クラフトマンであると考えています。
IT事業では、観察力・誠実さ・粘り強さといったクラフトマンシップを重視し、クラウドやAIなどの技術を活用して顧客に最適な支援を行っています。
ものづくり事業では、グラスやマグカップなどに「生涯補償」を付けた製品を企画・開発・販売しています。日本各地の職人と密に連携し、高品質かつ独自性の高い製品を提供しています。
「生涯補償は、良いものを長く使い続けてほしいという思いから生まれました。壊れても新しい製品に交換することで、使い手と作り手の関係が続きます。職人の仕事が減少するなか、ものづくりを通じて人と人をつなぐ仕組みをつくりたいと考えました。個人的な話になりますが、父からもらったロックグラスを割ってしまい、悲しみに暮れていたとき、もう一つあったことを思い出し、安堵したことがありました。思い出もつなぐことができたのです」
「志が高く、私たちの価値観に共感できる方と仕事をしたいと考えています。地域や職人文化への理解と情熱も重視しています」
仙台へのこだわりについて尋ねると、三輪はこう答えます。
「本社は仙台に置き続けます。地域密着を大切にしながらも、海外市場への展開も視野に入れています」
今後のビジョンについては、こう語ります。
「5年後、10年後には、ITでは地域でもっとも信頼される企業に、ものづくりでは国内外で職人文化と製品価値を広めるリーダー企業になりたい。その核となるのがクラフトマンシップです」
クラフトマンシップを大事にした人材が集まり、活躍しているワイヤードビーンズ。
その精神に共感できる方には、いつでも扉が開かれています。